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2020.09.22 教育

DSDAって何?(3) 〜一般の方向け〜

VUCAの時代を生き抜くための、

見えないものを見る力、出せない答えを出す力

VUCAの時代を生き抜くための、

見えないものを見る力、出せない答えを出す力

 

 

VUCA(Volatility,Uncertainty,Complexity,Ambiguity)の時代と呼ばれる昨今、教育も大きく変わるべきではないかと考え、私たちは、「見えないものを見る力」「出せない答えを出す力」を身につけていただきたいと考え、DSDAという試みを開始しました。

Data Scienceを中心として、不確実で複雑な未来を幸福に暮らしていくために必要な力は何かと考察を繰り返しました。その結果、図のような5つの力を定義させていただきました。

 

Data Science

”Data Science”につきましては、昨今のビジネス界でのトレンドとなっていますので、どのようなことかはご存知でしょう。おそらくデータサイエンティストが必要になってくることは共通した見解ではないでしょうか。ここには2つの課題があると考えられます。1つは、機械学習等を用いて、データ処理を実装していくためのエンジニア、また、そのデータをビジネスに生かすための担当者が不足していると考えられます。

本校の理系進学を目指す生徒にとって、もはや完全に必須であることは異論のないところでしょう。北海道大学、筑波大学、富山大学、全入学者にデータサイエンス科目が必修とされる大学は続々と増加しています。

一方、本校は女子校のため、文科系、芸術系を志望する生徒は少なくありません。しかし、彼女たちにとってもデータサイエンスは欠かせません。あらゆる産業においてデータが活用され、業務の改革、新商品・サービスの開発などが行われています。いわゆるデータサイエンティストでなくとも、データを取り扱ったり、解釈して業務に生かしたりことは必須の力です。中・高の6年間の中で、その基礎的な力とセンスを身につけていただくように、教科学習やプロジェクト学習を設計しています。

Basis

次に、“Basis”について申し上げます。親や教員は子どもにむかって、「よく考えなさい」と口癖のように言っていますが、どのように考えるかを教えることは極めて稀です。“Basis”はCritical Thinkingとほぼ同義で使っていますが、先ほど申し上げた「見えないものを見る」「出せない答えを出す」ために、ものの見方やCritical Thinkingは極めて重要です。また、その獲得には昨今話題の“社会情動性”と呼ばれる特質とも密接な関係があるため、“社会情動性”の育成も意識しています。

Global Vision

“Global Vision”とは、単なる語学力ではありません。異文化の人たちの中にあって、自己主張ができ、かつまったく異なるバックボーンを持つ人たちと議論をし、合意形成をするための力です。そのために重要なのは、語学力はもとより、GRIT(やり抜く力)やレジリエンス(復元力)と呼ばれる社会情動性です。海外や外国人と仕事をされた方はお分かりだと思いますが、私たち日本人が当たり前だと思っていることがそのまま通じるのは77億人の世界人口の中で、たった1億2千万人ほどでしかありません。粘り強い気持ちと折れない心がなければ世界で生き抜くことはできません。

さらには、目まぐるしく動く世界の情勢を分析する眼や背景知識も必要となってきます。そういったことにも目配せをした教育を実践しています。

Creative Thinking

“Creative Thinking”とは、昨今で言う、デザイン思考やアート思考と呼ばれる考え方です。本校では世界ではもうMBAの時代ではないということを受け、Logical Criticalを超えCritical Thinkingを前述のように学びます。イノベーションを生み出す人になっていただきたいという願いからデザイン思考やアート思考についても触れてまいります。この3つの思考は混とんとした世界に革新をもたらす発想の基本だと考えております。

Design Arts

最後に、”Design Arts”について申し上げます。“Design”には様々な意味がありますが、日本語で言う「デザイン」以外に「何かを組み合わせて新しいものを作る」「何かを考え、計画する」という意味が含まれています。イノベーションを生み出すためには考えたり組わせたりすることが必要になります。そのためのパーツや土台が、”Design Arts”です。「教養」という言葉の意味に近いと思います。

なぜ「近いと思います」と申し上げたかと言いますと、単に知っているだけでは意味がないと考えているからです。本校の教育では、得られた知識は知っているだけでは知識と呼ばず、実際に他人に説明できるだけの深い理解、何か別の知識と組み合わせられるほどの柔軟な理解を伴うようになってこその知識であり、そのレベルに達することができれば「教養」と呼べるのではないかと考えています。

 

今申し上げました5つの力の獲得は、学校生活のすべての時間を使って、実現させます。ややもすれば、大学受験はどうするのか?という問いが学校の内外で生まれがちです。しかし、それは私たち教員、子を持つ親が犯しやすい勘違いから生まれます。高校教員であれば大学合格、大学教員であれば就職、またそれぞれの親も同様ですが、それらはゴールではなく、スタートでしかありません。子どもの立場からすれば当然のことですが、周囲の大人たちはゴールだと思いがちです。

私たちは、18歳、22歳にスタートを切る子どもたちのその先の未来を考え、DSDAに取り組んで参ります。(先端学習部長 難波 俊樹)


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